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おいもさんファンクラブ

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2013-12-16れしばいぬと爺さん

「サブや、家にお入り」

「」

「お前のお母さんはな、天国にいったんだよ」

「」


もともとおとなしい仔犬だったが、ますます無口になってしまった。

母犬に似て体が弱いせいもあるだろうが。


「散歩にいこうか」

「」


散歩は好きなようだ。

不自由な足を引きずってついてくる。


「」

「またボールもってきたのか、好きだな」

「」

「ほれ」


ナイスキャッチ。


  *  *  *


「わんちゃん」

「」

「この家の子?」

「」

「おじいさんね、ちょっと病院に行かなきゃいけないの」

「」

「大丈夫よ、すぐ戻ってくるって」

「」


  *  *  *


おじいさん、鼻から変な管でてるよ。

「ふー、」

おじいさん、邪魔でしょ。取ってあげるよ。

「ふー、これ、イタズラするな」

なんだよー。親切でいってるのに。

「お前ももう少し丈夫だったらな、」

おじいさん、ボール。なげてよ、ボール。

盲導犬のように、人様のお役に立てればな、」

散歩はー?ねえ散歩行こー?

「・・・これでは里親も見つからんな」

ボール。はい、ボール。

「ほれ」


ナイスキャッチ。


  *  *  *


車椅子での外出も、人の手を借りねばままならぬ。


「ほれ」

「」


ナイスキャッチ。


何のとりえもない仔犬だと思っていたが、反射神経だけは良いようだ。

年寄りが震える手であさっての方向に放るボールをしっかり捕まえる。


「」

「・・・」


ボールに夢中になっているところへ、そっと、「あれ」を投げてみた。


「」


ナイスキャッチ。


「サブ・・・」


「」


なんと、投げつけた里々の動作ログを見事にキャッチし、フォームに表示しているではないか。


「お前、ログが読めるのか・・・?」

「」


特訓が始まった。

かつて里々ゴーストマスタとして一部界隈では名を知られた爺さんと、

今ではその技を受け継ぐものがいないとされた「れしば」使いの犬。


周囲には何をしているのか伝わらなかったが、爺さんは真剣そのものだった。

犬はただ、楽しそうだった。


然るべきところでサブを預かってもらえるかもしれない。

この命があるうちに。サブが自立できるように。


  *  *  *


さくらの季節。


「いらっしゃいませ。あら、かわいいわんちゃんね。ソシレミへようこそ。」

「」

「よろしくおねがいします」

「こちらこそ、どうぞよろしく」

「」


「サブや」

「」

「よくお聞き」

「」


  *  *  *


「・・・クロ」

「」

「クロ」

「!」「・・・わん」

「どうしちゃったのさ、ボーっとして」

「わん」

「ね、あそこ見てよ。さっき、あの子に挨拶しようと思ったんだけど、うまく届かないんだ」

「わん」

友達になりたいんだけど、伝わらないんだ。どうすればいいのかな?」

「わんわん!」


  *  *  *


「サブや」

「」

「よくお聞き」

「」

「お前は、伺か盲導犬になるんだ」

「」

「この世界は目に見えぬ情報でいっぱいだ。多くの人が見えぬ恐怖に怯え、見えぬ絶望に打ちひしがれ、この世界を去ってしまう」

「」

「お前には私達に見えぬものが見える。だから、この世界の創作者たちの助けになってほしい」

「」

「誰かが迷う時、道を照らす役目を担うんだ」

「・・・」

「サブや」

「わん!」

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